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文献詳細

雑誌文献

臨床外科11巻13号

1956年12月発行

文献概要

特集 吐血と下血 症例

興味ある発生機作による肝皮下破裂の1例

著者: 益満義躬1 樋口昭司1 橫屋一郞1 田中正一三1

所属機関: 1札幌医科大学外科教室

ページ範囲:P.1025 - P.1027

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緒言
 各種腹部臓器の皮下破裂は決してまれなものではないが,最近になり諸産業の発展とともにしだいにその報告例も増加している.とくに交通事故によるものが多く,今後交通量の激増が予想されることより,ますます本傷害の発生例が多くなるものと思わねばならない.しかして早期診断,早期治療がその予後を大きく左右する本症の診断にあたり,臨床的諸検査,諸症状の精査が重要なことはいうまでもないが,受傷後一定期間無症状に経過するばあいもあり,なおかつ体表面になんらの損傷もみとめられないばあいなど,本症の確診を欠き手術時期を失することもすくなくないので受傷時の状態を精知してのち,患者に対処することが大切である.
 最近われわれは飛来した土塊による右背部挫傷によつて肝右葉前縁の皮下破裂をきたした比較的稀れな発生機作をもつと思われる症例を経験治癒せしめたので,その発生機作につき考察をくわえ報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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