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文献詳細

雑誌文献

臨床外科11巻2号

1956年02月発行

文献概要

綜説

脳血管造影法に於けるピラセトン及びウロコリンの使用

著者: 植田隆1 泉汎1 光信昌明1 田中敏夫1 位藤昇三1

所属機関: 1大阪大学医学部第一外科学教室

ページ範囲:P.107 - P.112

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 私共の教室では,脳血管造影法を実施する様になつてから,未だ日が浅いが,過去の経験を通じ最も悩まされる問題は,鮮明な像を得んとする為の努力と,副作用の強弱及び其の発現瀕度とが比例する事である.即ち造影剤の濃度を高くし,急速に注入すればする程,確実な鮮明像を得るが,それに伴う副作用が強くなるのである.
 70%ピラセトンは常に鮮明な像を得る事が出来るが,注射直後の痙攣,注射後の一過性昏睡状態を伴う事が多い.吾々は造影剤注入の直前より,チオペンタールソーダの静脈内麻酔,或はエーテル吸入麻酔を施行しているが,この様な不愉快な副作用を防止する事は出来なかつた.遂に一例(第VI例)に於て,術後昏睡状態五日間持続,凡ゆる療法を試みるも覚醒せず遂に死亡すると云う憂目を見た.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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