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文献詳細

雑誌文献

臨床外科11巻4号

1956年04月発行

文献概要

綜説

外科領域に於ける生体内総塩基の変動に関する研究—第一報 イオン交換樹脂による総塩基定量法の簡易改良化

著者: 內田善敬1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院分院外科

ページ範囲:P.267 - P.275

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緒言
 生体内には陽イオンとして,Na,K,Ca,Mgが存在し(尿にはこの他にNH4がある),これを総称して総塩基total base1)17)と云い,各イオンの当量濃度の総和で表す.この陽イオンに対しては,等当量の陰イオンが存在し,総酸当量濃度は総塩基当量濃度により決定されるので,主としてHCO3の増減によつて両者が合致するようになつている.今血漿のイオン構成を示すと第1表の如くである.体液のイオン構成は特に細胞内外で大いに異るが,滲透圧は細胞内外両区一致している.生体内の滲透庄は総塩基で決定されると考うべきで,生体滲透圧の恒定性を保つ上から正常では血漿総塩基は常に150乃至160m Eq/lで,比較的狭い範囲を変動するのみであるとされている.又血漿総塩基は第1表の如く,その90〜93%がNaで占められているので,Naの変動に最も影響され,水分電解質特にNa平衡の指標となり,多くの生理的,病的状態で電解質平衡を完全に理解する上に欠くべからざるものである.臨床的に心臓,腎臓疾患,非経口的栄養を受けている患者,体液の異常喪失のある場合,広汎な火傷,外科的手術後の患者等の治療に当り,或は麻酔,手術の管理に際し,体液電解質の状態を知る必要が常に起つてくる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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