icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科11巻5号

1956年05月発行

綜説

直視下心臓内手術の手段としての選択的脳灌流冷却並びに冠動脈灌流法

著者: 木本誠二1 杉江三郞1 三技正裕1 浅野献一1 吉村享1 佐藤文雄1

所属機関: 1東京大学木本外科

ページ範囲:P.319 - P.324

文献概要

 直視下心臓内手術に関して,吾々が年来研究を続行していることは既に度々報告した所であり,その結果特に浅野の実験的研究が実を結んで選択的脳灌流冷却法の創案となり,臨床的実施に移した成績も従来の方法に比較して優秀であつて,更に研究を推進する価値のある一法であることは昨年春の日本医学会総会特別講演1)に於て発表し,又本誌上にも報告2)した通りである.その後特に本法による心房中隔欠損症6例の手術成績3),及び心室中隔欠損1例の手術成績4)を報告し,何れも死亡例なく,臨床的治癒の状況に持来すことが出来た.
 しかし本法にも臨床的実施には一定の制約があり,更にその適応を拡大すべく研究を続行した.昨年秋の日本胸部外科学会に於て,選択的脳灌流冷卸法に関して多数研究者の追試発表があり,概ねその卓越した効果は承認されたのであるが,吾々としてはむしろその不利な面,と言うか,その適応の限界について反省すべき点を卒直に報告5)し,冠動脈の動脈血灌流の併用を述べた.その後この方法を本格的に研究して臨床的実施に移し,これは単なる選択的脳灌流冷却法と人工心肺による長時間心臓開放との中間を行く一つの方法であることを確認し,以前からの吾々の念願であるFal—lot氏四徴症の根治手術を企図して,技術的に一応完了し得た.取敢えず本年1月の外科集談会で報告6)したのであるが,なおその後の経験も加えて本稿を記述し,大方の御批判を頂き度いと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら