文献詳細
綜説
直視下心臓内手術の手段としての選択的脳灌流冷却並びに冠動脈灌流法
著者: 木本誠二1 杉江三郞1 三技正裕1 浅野献一1 吉村享1 佐藤文雄1
所属機関: 1東京大学木本外科
ページ範囲:P.319 - P.324
文献概要
しかし本法にも臨床的実施には一定の制約があり,更にその適応を拡大すべく研究を続行した.昨年秋の日本胸部外科学会に於て,選択的脳灌流冷卸法に関して多数研究者の追試発表があり,概ねその卓越した効果は承認されたのであるが,吾々としてはむしろその不利な面,と言うか,その適応の限界について反省すべき点を卒直に報告5)し,冠動脈の動脈血灌流の併用を述べた.その後この方法を本格的に研究して臨床的実施に移し,これは単なる選択的脳灌流冷却法と人工心肺による長時間心臓開放との中間を行く一つの方法であることを確認し,以前からの吾々の念願であるFal—lot氏四徴症の根治手術を企図して,技術的に一応完了し得た.取敢えず本年1月の外科集談会で報告6)したのであるが,なおその後の経験も加えて本稿を記述し,大方の御批判を頂き度いと思う.
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