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文献詳細

雑誌文献

臨床外科11巻6号

1956年06月発行

文献概要

綜説

腸間膜淋巴腺の観察

著者: 加藤貞三郞1 加藤敏昌1

所属機関: 1中部労災病院外科

ページ範囲:P.397 - P.399

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緒 言
 腸間膜は腹腔の広汎な部分を占め,内に腸の全機能を司る神経血管淋巴系を有しているので,腸間膜の病変は直接重大なる影響を腸に与えるものである.事実先見により腸間膜の重要視すべき事が強張されて来た.余等は数年来開腹時に腸間膜の状態を其のつど観察して来たのであるが今回は腸間膜淋巴腺の観察結果を報告する.材料は上腹部開腹患者200例下腹部開腹患者250例に就ての検索で之の内には結核癌等の特異性淋巴腺腫脹は含まれて居ない.元来腸間膜疾患としては非特異性淋巴腺炎,瘢痕性腸間膜炎,腸間膜淋巴腺結核の三者が述べられているが之等は何れも淋巴系に密接な関係あり,私も瘢痕の原因が明らかに淋巴系の炎衝によると考えられる数例を経験した.又腸間膜蜂窩織炎の型のもの3例を見た.勿論腫脹淋巴腺は周囲の血管神経に障碍を与え腸間膜自身にも浮腫や充血が来て之等が色々の症状を示すものである,即ち虫垂炎や移動盲腸の症状時に吐糞症や腹部狭心症の型,又胃カタル腸カタルの型をとるのもある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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