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綜説
各種消化管瘻の栄養学的検討
著者: 中村武1 山本勝美1 広田和俊1 田宮達男1 磯垣弘1 增田覚之1
所属機関: 1千葉大学医学部中山外科
ページ範囲:P.19 - P.25
文献購入ページに移動各種消化管瘻の研究は術後病態生理究明に対し一つの重要なる要素を形成するのみならず,他方栄養学的見地より経口的食事摂取不能場合に於ける栄養瘻としての意味をも有し,極めて重要なる諸問題を提供して居る.特に教室では末期的食道噴門癌,胃瘻の姑息的手術療法として,或は又,術後吻合部の狭窄や穿孔等の合併症併発の為,全く経口的栄養投与を断念しなければならない様な事態に到達した際,止むなく,胃瘻や空腸瘻造設術を行い,積極的栄養補給法を実施し,好成績を得て居る.
此の胃腸瘻造設術も,原因となるべき疾患に依つて永久瘻か一時瘻としての意義が附せられ,設置部位や手術手技が自ら異つて来るわけである.此等栄養補給路としての各部消化管瘻に関する研究は,設置部位に依る栄養学的価値の差異や,合理的食餌投与法の規準,又栄養瘻のみの食餌投与で招来される欠損症状,更には生存し得る限界等,極めて興味ある問題を包含して居るわけである.勿論,此等に関する研究は,未だ接見しない.私共はこの問題に関し,主として消化と吸收の面より研究を重ねて来たが,特に度々報告して来たCr2O3標識による消化吸收試験法を採用した事がこの分野の開拓に与つて力となつた.
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