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文献詳細

雑誌文献

臨床外科12巻11号

1957年11月発行

症例

大腿動脈塞栓剔除術(Embolectomy)の1例

著者: 本吉正晴1 松本外史郞1 稲田潔1

所属機関: 1岡山大学医学部津田外科教室

ページ範囲:P.956 - P.958

文献概要

 最近心臓血管外科の進歩はめざましく,心臓,大血管に直接侵襲を加える機会が多くなつてきた.末梢動脈の急性塞栓は比較的稀なものであり,外科医の対象となること少く,また多くの場合既に手術的療法の時期を失しているため,外科的療法を行つても予期の効果を挙げ得ない.急性の末梢動脈塞栓症としては,血栓によるものや,組織片によるものなどがあるが,本邦では欧米に比し閉塞性動脈硬化症(Arteriosclerosis oblite—rans)は稀であり,したがつて本症にさいし屡々伴う.急性動脈血栓症の報告は皆無である.塞栓症に対する塞栓剔除術(Embolectomy)に関する報告も外国に比し極めて少く,今日までに赤岩1),甲賀2),横田3),木本4)5)等数氏の報告があるにすぎない.かつ此等の症例の多くは,塞栓症発生後相当時間を経過しているため手術目的を達していない.最近,僧帽弁狭窄症に対する弁切開術が本邦においても多数行われているが,弁切開術に時に合併する末梢動脈塞栓症に関する報告例も見当らない.
 最近,私達は興味ある本症の一例に遭遇し,かつ塞栓剔除術を行つて,ほぼ満足すべき結果を得たので簡単に報告したいと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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