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文献詳細

雑誌文献

臨床外科12巻2号

1957年02月発行

綜説

手術侵襲と基礎代謝

著者: 松崎美佐夫1 松田健一2

所属機関: 1保内郷病院外科 2日本大学今尾外科

ページ範囲:P.83 - P.84

文献概要

 基礎代謝に関しては,従来多数の報告がなされているが,手術との関係に就いては甚だ少なく,近藤,森永等の報告があるにすぎない.私達は胃癌患者12例,胃潰瘍患者12例,肺結核患者(肺葉切除施行)5例,その他5例,合計34例に就いて,手術前後の基礎代謝率を測定し,手術侵襲に伴うその変動を追求した.測定には福田式基礎代謝率計を使用し,術前及び術後第1日目より第7日目まで毎日,その後は10日目,14日目,21日目の計10回にわたり,基礎代謝測定条件のもとに,1分間の酸素消費量を求め,基礎代謝率を算出した.
 その成績は,第1表及び第1図に示す如く,術後第1日目に著明な上昇を示し,以後時日の経過と共に基礎代謝率は漸次減少し,その間,発熱等もなく順調な経過をとるものでは一般に10〜14日目にて術前値に復する.健康者の基礎代謝率は,先輩諸氏の業績によると,平均3.3%で,体温其の他の生活条件による変動を考慮に入れても±10%を正常範囲と見做す事が出来よう.佐藤の実験によると,基礎代謝は薬物によつても影響される様であるが,かゝる著明な上昇は,主として手術侵襲そのものによると解すべきであろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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