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文献詳細

雑誌文献

臨床外科12巻6号

1957年06月発行

綜説

陳旧性結核性瘻孔に対する亜鉛華油の作用に関する研究(第1報)—亜鉛華油を塗布せる陳旧性結核性瘻孔(骨関節結核)の臨床的観察

著者: 平岡駿一1

所属機関: 1東京医科歯科大学整形外科教室

ページ範囲:P.497 - P.510

文献概要

緒言
 結核化学療法剤の最近の発展により,骨関節結核に於ける瘻孔,潰瘍も格段と治癒し易いものとなつた.しかしながらその内の一部には,将に閉鎖治癒せんとする状態に達するにも拘らず,その後長期にわたり完全な閉鎖に至らないものがある.Köhneは化学療法下に於ても,骨関節結核480例中の140例が大なり小なりの瘻孔を発生し,それらの21月後に於ける治癒率は61.4%であつたと言い,永井はStmy単独療法によって47.5%の瘻孔閉鎖成績を收め,大矢は化学療法と瘻孔剔出手術を併用して60%の治癒効果をあげたと述べているが,その困難さを物語つているものと言えよう.一方,内藤の実験ではStmyを用いると創面が却つて治り難いとの結果もある.
 局所的に化学療法剤を使用した効果について,金子等はINAH及びStmyの水溶液を12乃至60日間にわたつて瘻孔に用い,INAHでは66%Stmy単独では56%の閉鎖率を見ている.然し,現在では一応化学療法剤の全身的投与と共にStmy溶液等が局所的に使用されており,又骨関節結核病巣の手術後,局所的にStmyを用いることにより瘻孔形成を予防し得るとされているが,最近菌の耐性等によつて再びStmyの瘻孔治療成績が低下したとも言われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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