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症例
粘液嚢腫を伴える虫垂軸捻転症の1例
著者: 椎谷龍彥1 勝井哲三1 平田保1
所属機関: 1北海道大学医学部第二外科
ページ範囲:P.529 - P.533
文献購入ページに移動虫垂軸捻転症は稀な疾患であり,Ringel氏が1910年始めて虫垂軸捻転症として1例を報告した.しかしこれに先立つこと3年1907年にFink氏がAppendicitis traumaticaの報告の中に,該虫垂が外傷後180°軸捻転虫垂炎をおこしていた1例を報告している.爾後Payne,Bevers,Le—veuf,Seubert等々の発表があり,又本邦に於ては大正7年(1918)宮田氏の2例の報告を以つて嚆矢とする.以後児玉,榊原,古森等の諸氏によつて報告され,現在迄に18例を数える.
又虫垂粘液嚢腫については1842年Rokitanskyが虫垂の嚢腫性拡張をHydrops vermiformisとして報告して以来,Virchow,Coats,Gruber,Wölfler等の諸氏の報告があり,又本邦にては明治43年(1909)富田氏が虫垂の粘液漏出に就き述べ,明治44年(1911)斎藤氏が始めて虫垂粘液嚢腫として1例を報告し爾来多数の報告を見て50数例に達している.
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