綜説
頭部外傷後貽症(特に植物神経系の問題)
著者:
加藤貞三郞1
加藤敏昌1
𠮷富久吉1
所属機関:
1中部労災病院外科
ページ範囲:P.579 - P.581
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頭部外傷後貽症で気脳法の効果を観察した症例が最近43例ある,之等の症例は早くて外傷後1ヵ月遅きは1年以上も経過して居り,多くは6ヵ月以上の症例である.之等の症状を大体区別して見ると次表の如くで(第1表)殆んどの例に頭痛頭重感を認めるが之れは天候気候によつて左右される事の甚しい症状で,恐らく之には植物神経系が主として関与し,脳圧や脳循環が外界の条件の変化に適応して調整されない為に起る症状では無いかと考える.併して本症状は之が為に労働し得ないので極めて重要である.又表中間脳下垂体副腎系障碍例は無いと出て居るが之は一見して分る様な本内分泌系障碍の症状を見た例は無いので,Thorn's-testは殆んどの例に水代謝試験は3例に異常を示す.仍て之等症例に気脳法を治療の目的で施行した成績を第2表に示しましょう.(第2表)即ち43例中23例51.2%に効果を認め年余の苦痛から全く解放された者も4〜5例ある.