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文献詳細

雑誌文献

臨床外科12巻9号

1957年09月発行

文献概要

綜説

各種麻酔の術後急性肺水腫発生に及ぼす影響について

著者: 脇坂順一1 倉本進賢1 中川義1 上田和夫1

所属機関: 1久留米大学医学部脇坂外科教室

ページ範囲:P.703 - P.713

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Ⅰ.緒言
 近年の外科,特に胸部外科の進歩は麻酔の発達に負う所が大きい.麻酔は手術時の疼痛を除く手段から発展して,現在では無痛は勿論,手術施行に最適の状態を作り,而も術中,術後に起る危険から患者を守ることまでが原則とさえなつて来ている.このためには,解剖,生理,病理,薬理,神経反射,外科疾患或は手術による諸反応等を充分理解し,あらゆる面から患者の状態を観察して適切な処置を行い,生体を管理しなければならない.今日の様に手術侵襲が大きくなると,麻酔管理の重要性は益々増大するものであつて,術中の偶発症は勿論,術後の経過,諸合併症,ひいては患者の生命さえも麻酔管理の如何によつて直接重大な影響を受ける訳である.
 偖て,近年アメリカに於いて急速に発展した閉鎖式麻酔器による吸入麻酔,特に気管内麻酔法は術中の酸素供給が容易に行える点で開胸手術の安全性を高め,治療成績を著しく向上せしめて居り最近これは我が国に於いても著しく普及し,胸部手術等に広く用いられる様になつている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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