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綜説
門脈損傷に対する低温麻酔適用例の検討
著者: 岡村宏1 渡辺晃1 千葉猛二1 藤木良平1 豊島純三郞1 澁谷三郞1
所属機関: 1東北大学医学部桂外科教室
ページ範囲:P.715 - P.718
文献購入ページに移動近年急速なる麻酔学の進歩に伴つて,従来絶望視されていた種々の手術も可能となつて来た事は周知の事実であるが,尚poor risk症例に対する麻酔法に関しては,種々検討を要する面があり,第Ⅳ回の日本麻酔学会のシンポジアムにも之が採り上げられたのは当然の成行と思われる.我々は先の第Ⅲ回麻酔学会に於て,「低温麻酔の臨床経験」1)について発表し,更に数年来の低温並びに超低体温麻酔の実験的研究を行つた成績2)を基礎として,「低体温麻酔に関する考察,特にpoor risk症例に対する臨床応用」3)なる論文を発表した.今回は最近入手せるcooling blanket使用による低温麻酔を,70歳の高齢者で然も全身状態の悪い胆道癌を思わせる症例に適用し,術中浸潤のある門脈を損傷,瞬時に2500ccに及ぶ大出血を起し,門脈血行の1時間10分に至る遮断を行つて,門脈血管縫合を行つたが,幸にも救助し得たので,この症例を報告すると共に低温麻酔のpoor riskへの適用意義について考察したので述べる.
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