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文献詳細

雑誌文献

臨床外科12巻9号

1957年09月発行

文献概要

症例

急性盲腸憩室炎—その症例と統計的・文献的考察

著者: 朝倉哲彥1

所属機関: 1国立東京第一病院外科

ページ範囲:P.745 - P.750

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緒言
 腸管憩室に於て盲腸憩室の占める比率は非常に少く,OchsnerおよびBarganによれば結腸憩室151例中僅かに2%が結腸右半に属するものであり,またGreensfelderおよびHillerは5385例の腹部手術に於て2例,400例の剖検に於て2例の盲腸憩室を認めているに過ぎない.Mayo Clinicに於ける31,838例の結腸レ線学的検査に於ては結腸憩室は僅かに5.7%で,同じ年間の剖検例では6.9%であり,それら結腸憩室700例中盲腸憩室は91例(全体の約0.3%)であつたと報告されている.Massachusett General Hospitalの統計に於ても腸管憩室炎のために外科手術を必要とした患者の中3%が盲腸憩室炎であつたと述べられている.Ochsnerは発見された憩室の約14%が炎症像を示したと述べているが,何れにしろ,盲腸憩室及び盲腸憩室炎の頻度は全腸管のそれらの5%を下廻るものとみて差し支えないようである.従つて盲腸憩室炎については多くの病理学乃至外科学教科書には詳細な記載がなく,偶々外科手術に際して発見された場合は結核や癌と誤られて不必要に過大な外科的侵襲が加えられる可能性が多分にある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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