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文献詳細

雑誌文献

臨床外科13巻1号

1958年01月発行

外科と薬剤

手術中循環障害に対するCarnigenの使用経験

著者: 田中早苗1 松田住藏1 三村久1

所属機関: 1岡山大学医学部第一外科教室

ページ範囲:P.85 - P.89

文献概要

 手術中および術後の循環虚脱にたいして,輸血輸液についでAdrenaline,Ephedrine,Noradrenaline,Neosynephrine(Neo-Synesin Kowa)などの昇圧剤および酸素吸入などがおこなわれる.これらの薬剤は末梢血管を収縮させて血圧を上昇させるものであるが,理想的には末梢血管収縮をきたさず血圧上昇をきたし,循環をよくすることによつて組織の酸素供給を十分にし,しかも効果が長く続く薬剤が要求される.かような要求にもとづいて作られたCarnigenは種々の循環調節障碍にたいして内科方面では広く使用され好結果をえており,多くの文が見られる.即ちE. Lindnerはモルモットの心臓でおこなつた研究で冠動脈血流量の増加と心筋の収縮力の亢進を認めており,ヒスタミン虚脱や失血虚脱に陥つている犬の血圧を上昇させ,ほとんど正常の価に復することを確めている.その作用機構としてLöschはメタ細小動脈の毛細管前小動脈の収縮と小静脈の緊張低下,すなわちO. MüllerのいうSpastischatonischer Symptomenkomplexをのぞき,他方冠状動脈の拡張と血液貯蔵器よりの血液駆出により,心筋の血流不足を除くであろうと考えられるといつている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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