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文献詳細

雑誌文献

臨床外科13巻10号

1958年10月発行

文献概要

症例

腸重積症と誤られた稀有な乳児廻盲部結核の1例

著者: 井上利之1 榎本二郞1

所属機関: 1神戸医大第一外科教室

ページ範囲:P.987 - P.988

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緒 言
 小児結核,殊に乳児に於いてはその死亡率の示す如く予後は極めて悲観的であるが,乳児ではその感染源が比較的明瞭であり,一度び菌の侵入をみるや発病から進展の速やかなる事も又論をまたぬ事実である.その病型は殆んどすべてが初感染より発病して粟粒結核,髄膜炎又は中枢神経系の結核へと進むのが常で,乳児の腸結核は頻回なる菌の嚥下よりして数多く発見されていゝ筈であるが案外少なく,まして乳児の廻盲部結核腫瘤は文献にも散見する程度である.私達は母親の充分な注意と庇護の足りなかつた為とは言いながら,臨床症状より考えて夢にも廻盲部結核を疑わず,腸重積症として夜間救急手術の結果,廻盲部結核なるを認め組織検査により結核性なるを確診した一例に遭遇し,切に既往歴,家族歴の精査の必要性と,乳児廻盲部腫瘤にも結核の疑いを以つて診断し適切なる治療の重要なことを痛感したので,若干の考察を加えて報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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