文献詳細
文献概要
1.まえがき
われわれが日常遭遇する前立腺腫瘍は前立腺肥大症と前立腺癌とである.これらの腫瘍の治療法としては,前立腺肥大症に対しては腺腫の剔除,前立腺癌に対して全前立腺剔除を施行することが,依然としては最も選ばれた優秀な方法である.
しかしながら,常に観血的にこれ等の手術を実施することが出来るとは限らない.一般に患者が高齢者であつて,説得しても手術を承諾しない場合もあるし,合併症のためにそれが出来ないこともある.特に前立腺癌はその症状が自覚的に漠然としているために,発見の時期が遅れ,診断したときには進んでいて手術の適応にならぬことが少くない.時には己に骨等に転移を来たし,それから逆に原発巣が発見されることもあるので,根治手術を実施出来る症例が比較的に少いのである.癌に対する関心が深い米国に於てさえ1940年頃までは前立腺癌で手術の適応となる症例は5%に過ぎないといわれていたが,その後45歳を過ぎた男子は少くとも年1回は泌尿器科医の直腸内触診をうけて早期発見につとめるように唱導されたために,その適応症例は増加して来た,それにしても未だ20%程度のものである.英国に於ては今尚5%以下であるとのことである.
われわれが日常遭遇する前立腺腫瘍は前立腺肥大症と前立腺癌とである.これらの腫瘍の治療法としては,前立腺肥大症に対しては腺腫の剔除,前立腺癌に対して全前立腺剔除を施行することが,依然としては最も選ばれた優秀な方法である.
しかしながら,常に観血的にこれ等の手術を実施することが出来るとは限らない.一般に患者が高齢者であつて,説得しても手術を承諾しない場合もあるし,合併症のためにそれが出来ないこともある.特に前立腺癌はその症状が自覚的に漠然としているために,発見の時期が遅れ,診断したときには進んでいて手術の適応にならぬことが少くない.時には己に骨等に転移を来たし,それから逆に原発巣が発見されることもあるので,根治手術を実施出来る症例が比較的に少いのである.癌に対する関心が深い米国に於てさえ1940年頃までは前立腺癌で手術の適応となる症例は5%に過ぎないといわれていたが,その後45歳を過ぎた男子は少くとも年1回は泌尿器科医の直腸内触診をうけて早期発見につとめるように唱導されたために,その適応症例は増加して来た,それにしても未だ20%程度のものである.英国に於ては今尚5%以下であるとのことである.
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