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文献詳細

雑誌文献

臨床外科13巻11号

1958年11月発行

腎結石治療の限界

著者: 川井博1

所属機関: 1横浜市立大学医学部泌尿器科教室

ページ範囲:P.1031 - P.1037

文献概要

緒 言
 腎結石の治療はその結石が自然排出の可能性が期待されるもの以外は出来るだけ早期に結石の摘出術を施行するのが原則である.そしてその手術の根本方針とする所は如何にすれば患者への侵襲及び腎機能障害を最少に止めて結石を完全に摘出し,且つ術後の再発を最大限に防止し得るかに懸つているので,術者は患者の一般状態,年齢,合併症の有無,結石発生の原因的素因はもとより,結石の性状,位置,大きさ,数,罹患腎の機能障害,感染の有無,他腎機能等を慎重に考慮検討した上で最善の治療方針を決定しなければならない.即ち腎小結石の摘出にも各個の症例に応じた治療が必要となり,茲に腎結石の治療は「治療の個人化」が絶対必要と叫ばれる所以があり,又困難性もある.近時の腎に対する外科技術の進歩と,各種抗生剤の台頭により従来比較的危険視されていた腎切半術(renal bisection)腎部分切除術(partialnephrectomy)も腎結石の保存療法として積極的に試みられる様になり,外科的治療の範囲は大いに拡大されて来たが,今日尚お腎結石治療に関しては諸家の報告を見るに統一された方針の確立が見られない所以も茲にあるわけで,腎結石治療の限界は一つにその治療適応の決定にあると云うも過言ではないと信ずるので著者はこの点について述べて見たい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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