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文献詳細

雑誌文献

臨床外科13巻12号

1958年12月発行

文献概要

検査法

腸の外科に必要なる検査法

著者: 飯島登1

所属機関: 1東大木本外科

ページ範囲:P.1141 - P.1146

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 腸内容を採取検査に供するには十二指腸ゾンデを嚥下させ深く挿入して行うが,口腔,胃及び膵臓の分泌液,胆汁,腸液の含んだ腸内容として取出されその中の酵素の検査液は複雑であり場合によつては腸内細菌の検査も行われるが,日常の外科臨床では実用的価値は少い,腸の外科に必要なる検査は主として腸の運動機能に関するものであろう.腸の運動亢進は腸雑音の増加,排便回数の増加,運動抵下によつて,麻痺は雑音の減弱,消失,鼓腸,排便又はガス排出の減少停止等の臨床所見より推察されその詳細は更にレ線検査法によつて診断される.腸疾患に於ては糞便検査が重要であることは今更云うまでもない.排便回数,糞便の量,硬度色調,臭気,血液,粘液或いは膿の有無,場合によつては結石その他の異物の有無,虫卵,腫瘍組織片,潜血反応等を検査し臨床所見と併せてその診断に供す可きことは勿論である.殊に虫卵検査は腸吻合術後に関して予めその対策を施す可き根拠を与える.開腹術一般に必要なる肝機能検査,血液検査殊に腸吻合術が密接な関係のある低蛋白症の術前に於ける発見は云うまでもなく,手術方法,手術適応に就いてもこれらの検査は忽にす可からざるところである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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