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文献詳細

雑誌文献

臨床外科13巻4号

1958年04月発行

文献概要

薬剤

メチマゾール(メルカゾール)によるバセドウ氏病100例の治療—特に手術前処置を中心として

著者: 金地嘉夫1 寺田登美男1 竹下重晴1

所属機関: 1伊藤病院甲状腺病研究所

ページ範囲:P.361 - P.369

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 従来一程度進行せるバセドウ氏病の治療は外科的療法以外にみるべきものがなかつた.内科的にヨード剤血清療法やX線深部治療等はあるにはあつたが,これらは軽症のもののみに効果を期待し得る程度であつた.一方又甲状腺腫切除術の準備に前処置としてヨード剤が一時的に病状の改善を得る目的で用いられ,手術による死亡率を著しく減少させたが,あくまで前処置としての一時的効果を期待するにすぎなかつた.戦後サイオユラシール剤即ちメチルサイオユラシール(メチオジール).プロピルサイオユラシールが出現し,バセドウ氏病の内科療法に大きく貢献するところとなり現在広く用いられるに至つている.又放射性ヨードによる多数の治療成績は内科療法のみによる治癒の希望を実現し得るものというべきであろう.
 唯放射性ヨードは次に述べるような理由によつて随時に誰れでも容易に治療するというわけにゆかない.即ち8日間で効力が半減する貯蔵の出来ない輸入品であり,放射能を有する危険品で取扱いに専門的な知識を必要とすること.その1回の投与の効果は数週数ヵ月後になつて現われるので,薬剤投与の一般原則である薬のきゝ方をみながら投与量を加減するということが出来ず,もし過剰に投与されると永久的な粘液水腫となる恐れがあること.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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