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文献詳細

雑誌文献

臨床外科13巻5号

1958年05月発行

文献概要

特集 外科的・内科的療法の限界

肺壊疽—内科的療法の限界

著者: 福島孝吉12

所属機関: 1三井厚生病院内科 2東京大学上田内科

ページ範囲:P.443 - P.451

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1.緒言
 肺壊疽の治療法として,内科的保存療法による可きか,外科的に処置すべきか,又如何なる時期に,内科より外科に移す可きか,時代と共に大きな変遷がある.ペニシリン以前に於いては,保存的療法を数週間行つて,効果のないものは,外科的治療の適応とされた.ペニシリンの出現により,本症の治療は全く一変し,本症の殆んど総べては,ペニシリンによつて,良効が得られ,更に,これに次いだ数種の抗生剤の応用が行われる様になり,本症の治療は,化学療法が主体となつた.更に近年胸部外科手術の進歩に伴い,切除術が広く行われる様になり,化学療法後の遺残空洞や気管支拡張は容易に切除される様になり,又稀に見られる.化学療法にて良好を見ないものも,切除によつて治療し得る様になつた.
 かく本症の治療は,現在は内科的に先ず治療し,必要があれば外科的に処置することが普通と考えられるが,ではいかなるものを外科に廻す可きか,又その判断に際して,どんな事柄が関係するであろうか.その一つは起因菌の如何であり,更に治療後に残つた空洞や,気管支拡張の問題等である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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