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文献詳細

雑誌文献

臨床外科13巻7号

1958年07月発行

綜説

Waterhause-Friderichsen症候群

著者: 長洲光太郞1 木村信良1 古味信彥1 布施正明1

所属機関: 1東京医科歯科大学第2外科

ページ範囲:P.649 - P.660

文献概要

1.いとぐち
 細菌性全身感染症,とくに髄膜炎菌血液感染に際して,急性循環虚脱と全身皮膚粘膜よりの出血を伴い,電撃的経過のもとに,多くは24時間以内に死の転帰をとる病態を,Glanzmann(1933)1)にしたがつてWaterhause-Friderichsen症候群とよぶ.わが国でも1935年頃より居石,柴田,古賀等が髄膜炎菌感染症の報告の中で本症候群と思われる症例数例をあげているが,最近にいたり後にのべるごとく報告例も増加し,ことに化学療法やショック対策の進歩とあいまつてその治験例報告も散見されるようになつたが,なお外国報告症例数も200例程度で,本邦例のごときは剖検例をふくめて51例にすぎない.われわれは右足部の外科的感染創に続発した全身感染症(黄色ブドウ球菌)の経過中,不整脈,頻脈,血圧下降などの急劇な循環虚脱,全身の蕁麻疹様発疹と原発感染創周辺皮膚の出血斑,肺および消化管粘膜の出血,麻痺性イレウスや重篤な意識障碍と髄膜刺戟症状などが突発し,ほとんど絶望状態に陥つた症例にたいし,比較的早期にW-F症候群の疑診をおき,強力な化学療法とともに,腎上体皮質ホルモンの大量投与と薬物冬眠を行つて救命し得た症例を経験したので,この機会に内外文献をひろくあつめて考察を加えたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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