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文献詳細

雑誌文献

臨床外科14巻1号

1959年01月発行

文献概要

綜説

輸血腎—ことにその治療について

著者: 渋沢喜守雄1 丹後淳平1 西沢康男1 芦田敬治1 河野通弘1 西村菊夫1 真鍋圭一1 松浦一1 林久博1 志村保雄1

所属機関: 1群馬大学渋沢外科教室

ページ範囲:P.15 - P.28

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いとぐち
 輸血腎transfusion kidney(Novasquez1)1940)というのは,輸血後にみられる特殊な急性腎不全の状態であろう.尿量減少・尿中色素排泄・血圧上昇および高窒素血症などを主徴とするが,これらの症状発現の基礎となるものは溶血現象である.この不適合輸血による溶血の原因は,今日では主として非定型抗体の作用によるものと解されている.不適合輸血の歴史を回顧すると,現在の考え方に到達するまでには種々の曲折を経ている.
 ABO式血液型分類法はLandsteinerによつて1900年に確立されたが,16世紀の中頃からすでに輸血が行われていたという.当時は血液型の考慮がなされず,そのため,種々の副作用があり,輸血後暗黒色の尿を排泄し,乏尿・無尿がおこり,ネフローゼ様症状から,すゝんでは尿毒症で死亡した例のあることがしられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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