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文献詳細

雑誌文献

臨床外科14巻1号

1959年01月発行

綜説

縱隔腫瘍の診断について

著者: 武田義章1 中島邦也1 山中豊1

所属機関: 1大阪大学医学部小沢外科教室

ページ範囲:P.43 - P.56

文献概要

§緒言
 胸腔内に於て腹側は胸骨背面,背側は脊椎腹面の間,左右は肺臓に囲まれた極めて不整形な解剖学的な間隙がある.この間隙の外側は肋膜に依つて境されていて,心臓,大動脈起始部,気管,食道,胸腺,淋巴腺等の本来の臓器組織があるが,此等臓器組織の異常増殖或いは先天性乃至後天性畸型等に依つて腫瘤形成が起る事がある.此等腫瘤は縦隔腫瘍の名を以つて綜括されている.
 縦隔内にある器官或いは組織は複雑なために,腫瘍の性状は極めて多種多型である.即ち頭方には甲状腺,胸腺等の肥大或いは異型増殖により縦隔腫瘍を形成する.前胸壁直下には胸腺あり淋巴管がある.背面には多数の神経要素があり,中央には心嚢,大血管,気管支等があつて夫々縦隔腫瘍の発生母地となつている.斯の如く,縦隔には生命運行に最も重要な機能を営む此れ等臓器自身に腫瘍発生した場合は勿論のこと,その隣接臓器組織に腫瘍が発生した場合には重大な障碍が惹起される.腫瘍が発生する幸か不幸か縦隔腫瘍は発生速度必ずしも速かでないために,重要臓器組織に与える障碍は極めて緩除で,代償作用によつて機能障碍は屡々打ち消されている.この事は臨床症状発現を遅延せしめ,引いては診断治療をも亦遅延せしめる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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