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文献詳細

雑誌文献

臨床外科14巻10号

1959年10月発行

文献概要

症例

脾臓外科の経験

著者: 劉万生1 牧志真一1 小俣照信1 池田典次1 桜井二郎1 小菅輝武1

所属機関: 1横浜市大第二外科

ページ範囲:P.1107 - P.1124

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Ⅰ.緒言
 脾臓外科の歴史は甚だ古く,遠くギリシアの昔において,オリンピア競技の走者は"息切れ"がしないように,好んで脾臓の摘除を受けたと言うことが伝えられている.世界文献上,最初の摘脾成功例はナポリの外科医Zacarelli1)(1549)が行つたとせられ,マラリア脾腫を有する婦人患者に手術を行い,好結果を得たと記されている.降つて17世紀には,摘脾を専門とする医師が多数現われたと言うことであり,このような,近代医学が発足する以前の記録は別としても,すでに19世記の後半には,刺創や銃創など主として脾臓の外傷にさいして.全摘出あるいは部分切除がかなり広く行われていたことは事実である.
 しかしながら,従来と全く違つた角度から,脾臓が新たに一般の関心を惹くようになつたのは今世紀に入つてからであつて,その意昧では歴史は未だ浅いと言えよう.すなわち,Micheli2(1911)が溶血性貧血に摘脾を試みたのに始まり,Eppin-ger3)(1913)の脾機能亢進症の概念の提唱,ついでKaznelson4)(1916)の特発性血小板減少症に対する摘脾の報告等と共に,機能面を対象とする脾臓外科の新しい分野が,漸く拓かれるに至つたのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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