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文献詳細

雑誌文献

臨床外科14巻11号

1959年11月発行

文献概要

薬剤

手術前後に於けるDextran Gの使用経験

著者: 福田耕作1 天方義邦1 尾尻正博1 小沢逞夫1

所属機関: 1大阪大学医学部附属病院第2外科

ページ範囲:P.1209 - P.1211

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 在来不可能とされていた外科領域に対する手術侵襲も,手技の向上改善と麻酔および輸液の発展に伴い,驚くべき進歩を見た.外傷あるいは手術に伴う大量出血や,火傷の場合に見られる脱水症状,あるいは種々の原因によるショック並びに腰麻後に見られる体内の血液分布異常に起因する所の低血圧状態等に対し,適確なる強心剤の外に,適量の輸液という処置は誰しも異議のないことである.
 従来よく用いられている輸液の中で,全血液は最も推奨さるべきは勿論であるが急場の用に間に合わない場合もあり,適確な血液型判定の後にでも種々副作用のあることが比較的多いとされている.最近のごとく銀行血液の利用普及化に伴い,その利用度は昔日の比ではないが,逆にその精製並びに保存期間中に起因する鮮度,細菌,溶血現象,血小板数あるいは減少傾向等々今後増々改良さるべき点が多い.乾燥血漿は血液蛋白質および粘度の点では他の代用血漿に比してはるかに優れてはいるが,血色素および血小板等の欠如から言えば他の代用血漿の範疇を出ないばかりでなく,大量使用にさいしては高価につく欠点がある.リンゲル氏液,5%ブドウ糖液は保存,入手の容易なことと安価であることより救急輸液にさいしては血液型判定のごとき操作も不要にて適時用いられるが,その構成成分よりして飽迄補液の範囲を出ず,他の代用血漿のごとく長時間血圧の保持を期待することは難しい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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