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文献詳細

雑誌文献

臨床外科14巻4号

1959年04月発行

文献概要

薬剤

Xylocaineによる四肢伝達麻酔

著者: 山本真1 熊谷正哉1 原武郞1

所属機関: 1九州大学医学部整形外科教室

ページ範囲:P.413 - P.419

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いとぐち
 伝達麻酔とは必要な部位を支配する神経の内又はその周囲に局所麻酔剤を注入することによつて,知覚神経の伝導性を一時的に中絶し,その部位からの痛覚のインパルスをなくするものである.伝達麻酔はかなり古くから用いられている局所麻酔法の一つであり,四肢外科にとつては適応が多いものである.例えば災害患者でショック状態にあるもの,四肢の広汎な挫滅創を有するもの,或は出血多量などで血圧の低下があるものは,危救手術の麻酔法としては,まず伝達麻酔の適応を考えてみるべきである.又外来患者や胃に内容物がある時,更に身体機能の低下せる老人,糖尿病等の特殊の疾患で全身麻酔や脊椎麻酔の行われ難い場合,又浸潤麻酔のみでは,術野の無痛を得るのが不充分と考えられるようなときには,いずれも伝達麻酔の適応といえる.
 従来行われて来た如く,浸潤麻酔に簡単に併用できることからも,明らかに有利なものと考えられるにも拘わらず,案外に利用率が低いのは,理解に苦しむものであるが,技術の習熟の煩雑さ,不充分な麻酔への怖れ及び合併症等が普及を妨げるものなのであろう.私達は常日頃用いている伝達麻酔にXylocaine(Lidocaine hydrochloride)を使用することによつて以上の点に幾らかの解決を得ることができたと考えるのでとりまとめてご報告してみたいと思う.諸賢の御高批を頂ければ幸である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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