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文献詳細

雑誌文献

臨床外科14巻5号

1959年05月発行

文献概要

薬剤

ビタミンEによる静脈血栓症の予防と治療

著者: 橋本義雄1 川原啓美1

所属機関: 1名古屋大学医学部橋本外科

ページ範囲:P.503 - P.507

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いとぐち
 近年血栓栓塞症,特に術後血栓症に対する外科医の関心は次第に高まつて来ている.即ち,従来外科手術最大の合併症であつたシヨツクと感染が,いずれも種々な対策の進歩によつて次第にその重要性を失いつつある今日,それにかわつて大きな問題となるのが術後血栓症なのである.というのは,本疾患が肺栓塞という致命的な可能性を持ちながらも,その予防及び治療の点において依然として未解決のものを多く含んでいるからである.
 ビタミンEは,1948年Zierler10)によつて,Antithrombin作用のある事が提唱され,その後Ochsner6),Kay3)等によつて迫試されて以来,術後静脈血栓症に対する予防あるいは治療効果が検討されている.然しそれらの結果は互に矛盾し,作用機序についてもまだ一致した結論は得られていない,私共は,α—Tocopherol (ビタミンE)を用い,次の如き動物実験及び臨床経験により,静脈血栓症に対するその効果を認めたのでここに報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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