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文献詳細

雑誌文献

臨床外科14巻6号

1959年06月発行

検査法

輸血に必要な検査法

著者: 飯島登1

所属機関: 1東大木本外科

ページ範囲:P.633 - P.635

文献概要

 血液は生命の根源となる重大な体成分でありその循環外への逸脱は直ちに生活力の減衰,栄養の低下,血液循環障害を惹起し大量の失血ではすなわち失血死に終ることは今更述べるまでもない.さて入体における全血液量は体重の約1/13乃至1/20とされ1.5乃至2.0立の血液が短時間に失われれば危険となる.日本人のショック発生出血量は体重の大約2%,循環血液量の20乃至25%と見なされている.しかし出血ショックはまた出血の速度に大いに関係するものであり,緩慢に出血する際には相当量の出血でも堪え得るものである.女子は一般に男子に比較して出血の抵抗力が強く,回復もまた迅速であるが小児,老人は危険が多い.手術は出血を除外して論じ得ない以上術前における諸種の臨床検査によつて術前準備としてまた術後の嘔吐,胃液の吸引誘導によつて失われる体液の予想外に大量なることを思えば輸血は術前術後の栄養とも関聯して重大なる問題であることは明白である.
 単に輸血は体液ならびに栄養の補給のみでなく内分泌液,酵素,補体の補充の他に止血,凝固機転の促進,造血器官の刺戟作用によつて血液の再生促進,代謝および諸臓器機能の促進を行うことが知られている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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