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症例
ABO式血液型不適合輸血2例とその検討
著者: 室裕之1
所属機関: 1名古屋大学今永外科教室
ページ範囲:P.653 - P.655
文献購入ページに移動緒言
近時輸血の治療医学に占める分野は,極めて大きくその使用量も激増の一途を辿つているが,その反面,輸血による副作用の症例報告も次第に増加してきた.そして各国においては,これが安全実施に対して種々研究検討が加えられているが,未だ充分満足しうる成績は見られない.なかんずく,異型不適合輸血時には,最も重篤な副作用たる溶血性反応を来たし,しばしば死を招くことすらある.さらに,Rh-Hr式血液型をはじめ多くの新しい血液型が発見されている今日,輸血はABO式血液型が同型であるからといつて決して安心すべきものでないことが理解されるようになり,輸血前の交叉試験の実施がこれの防止対策の一大手段として強調されるようになつた.
然るに,この輸血前の交叉試験を行わなかつたため不幸にも2例の異型不適合輸血を経験したが,その症状経過に興味が持たれた故ここにその概略を述べ併せて教室における保存血使用後3年間の異型輸血の原因ならびに頻度に考察を加えた.
近時輸血の治療医学に占める分野は,極めて大きくその使用量も激増の一途を辿つているが,その反面,輸血による副作用の症例報告も次第に増加してきた.そして各国においては,これが安全実施に対して種々研究検討が加えられているが,未だ充分満足しうる成績は見られない.なかんずく,異型不適合輸血時には,最も重篤な副作用たる溶血性反応を来たし,しばしば死を招くことすらある.さらに,Rh-Hr式血液型をはじめ多くの新しい血液型が発見されている今日,輸血はABO式血液型が同型であるからといつて決して安心すべきものでないことが理解されるようになり,輸血前の交叉試験の実施がこれの防止対策の一大手段として強調されるようになつた.
然るに,この輸血前の交叉試験を行わなかつたため不幸にも2例の異型不適合輸血を経験したが,その症状経過に興味が持たれた故ここにその概略を述べ併せて教室における保存血使用後3年間の異型輸血の原因ならびに頻度に考察を加えた.
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