文献詳細
綜説
外科的侵襲における肝ノンヘミン鉄,銅及びカタラーゼ活性度の変動を中心とした研究
著者: 野原不二夫1
所属機関: 1東京大学医学部木本外科教室
ページ範囲:P.805 - P.820
文献概要
生体内の各種重金属は細胞内酵素と密接な連関を有し,エネルギー代謝上極めて重要な要素と推定されているにも拘らず(Lehninger1)),外科的侵襲におけるこれらの変動に関する報告は極めて少い.ことに鉄を除いては(Shorr2),Zweifach3)等)ほとんどないと云つても過言ではないであろう.この外科侵襲が生体のHomeostaticな防衛反応を凌駕して加えられるとき,種々の酵素系障害が諸臓器の無酸素症と併行しておこり,エネルギー代謝の失調を助長していわゆる不可逆ショツクにまでも移行して行くことは漸次解明されて来たところである(Le Page4)5),Engel6),Rosenthal7)).
そしてこの侵襲に対する生体反応の場として肝臓が占める主導的位置の重要さに関しては何人も異論なかろう.
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