文献詳細
症例
胃腸吻合術後37年に発生した空腸胃内重積症の1例
著者: 清水堅次郞1 五十棲忠二1 大內十悟1
所属機関: 1日本大学医学部第一外科教室
ページ範囲:P.874 - P.876
文献概要
1914年Bozzi1)により胃腸吻合術後の小腸胃内重積症が初めて報告されて以来,本症の報告例は現在に至るまで,Irons & Lipin(1955)2)によれば文献上丁度100例に達するといわれ,またBrad-ford & Boggs(1958)3)によれば欧州に100例,米国に10例の報告が見られるという.一方わが国の報告を見るに,斉藤・大矢(1957)4)は胃手術後の腸重積症を昭和29年から33年に至る5年間におけるイレウス蒐集例中より15例,本邦文献中より24例,教室例その他より8例,計47例を集め得たと述べ,このうち空腸胃内重積症は何例であるかの記載はなく明かではないが,森崎・小谷(1954)5)の胃切除術後の腸重積症に関する蒐集文献13例中,空腸胃内重積症は僅かに星6)の1例を見るに過ぎないことからも,本邦における本症の報告例は上述の欧米のそれに比較すれば極めて少いようである.
われわれは最近37年前他医の施行した胃腸吻合術後に発生した本症の稀有なる1症例を経験したので,ここに報告する.
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