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文献詳細

雑誌文献

臨床外科14巻9号

1959年09月発行

文献概要

綜説

胃曲線の研究—特に原発性慢性胃炎手術症例の重複胃曲線について

著者: 高橋正司1

所属機関: 1東京医科歯科大学第二外科学教室

ページ範囲:P.931 - P.952

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Ⅰ.緒言
 胃運動の研究方法は色々あるが,臨床的に利用でき,かつ成績が客観的に記録され,ある程度数量的取扱いができる点で胃内挿入ゴム球内圧変動を描記する胃曲線法にまさるものは現在のところない.
 胃曲線の研究はBoldyreff(1904)1)によつてはじめてこころみられた.その後多くの人々によつて研究されてきたが,病的曲線を記載しているのは,Carlson(1913)2)が最初である.しかし氏は臨床診断面への応用についてはふれていない.病的胃曲線を臨床診断に応用したのは,九州大学小野寺内科教室の鐘ケ江(1925)3)にはじまる.鐘ケ江3,4)は胃癌,胃潰瘍および正常人の胃曲線を分類して,胃曲線が胃疾患診断上有力な資料であることを多数の症例で証明した.その後同内科教室では松藤および吐師5,6),沢田および藤田7,8)等によつて研究が行われ,臨床的意義が確立された3-24).さらに主としてわが国の多数の学者によつて追試されて25-45),臨床診断上の価値がみとめられたが,いまだ充分に活用されているとはいえない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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