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文献詳細

雑誌文献

臨床外科14巻9号

1959年09月発行

薬剤

加熱血漿プラスマネートの試用経験

著者: 井口潔1 小西芳雄1 東龍雄1 倉重正敏1 上村彦二郎1

所属機関: 1九州大学医学部友田外科教室

ページ範囲:P.978 - P.980

文献概要

 最近われわれは輸血時の肝炎性ビールス伝染の危険を最小限度にとどめるものとして,米国において創られた加熱血漿プラスマネートを臨床的に追試する機会を得たが,本邦においては未だプラスマネートに関する報告がなされていないので,今回は本製品の紹介と共に,われわれが行つた臨床試用成績について報告する.
 プラスマネートは人血漿を60℃にて10時間加熱し,これを0.67%の塩化ナトリウム溶液中に混和せしめて,非変性人血漿蛋白が5%の割合に含まれるように調製せられたものである.GellisおよびMurrayの研究によれば,上記のごとく60℃において10時間加熱すれば,原血漿中の肝炎ビールス性原因は確実に不活性化されることが立証されているので,かかるプラスマネートの臨床使用によりいわゆる血清肝炎感染の危険性は極めて少いものと考えられる.またプラスマネート中に含有されている人血漿蛋白は,電気泳動法によれば,約88%のアルブミン,7%のγ-グロブリン,5%のβ-グロブリンから成り,その濃度は本溶液が人血漿と等膠質滲透圧を与える程度のものであり,その他の電解質の組成は第1表に示すごときものと報告されている.これらの組成よりみてプラスマネートにはγ-グロブリンが含有されていないので,当然抗原抗体反応は極めて少く,したがつて副作用発生は極めて少いものと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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