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綜説
リンパ性乳頭性嚢状腺腫—Papillary cystadenoma lymphomatosum(Warthin's tumor)について
著者: 斎藤義一1
所属機関: 1鳥取大学桑原外科
ページ範囲:P.893 - P.898
文献購入ページに移動Ⅰ.緒言
元来耳下腺は腫瘍の発生し易い領域であるが大部分は混合腫瘍と悪性腫瘍(腺癌)であり良性上皮性腫瘍は少いもので,その中でリンパ性乳頭性嚢状腺腫(P.C.L.と略す)は組織発生的に興味をひき組織学的所見も特有な像を示すもので外国文献にはそれほど少くないが本邦報告例は稀なものである.即ち昭和10年松島の報告以来,木村,並木,大橋,芝,米川,星氏等の報告に接するのみの様である.外国における報告も比較的多いとはいうものの1950年Thompson and Bryantが自験17例を加えての集計は180でありこの中12は肉腫,癌腫等の疑がもたれるものであるとしているところから考えて,現在の報告例は200例内外であると考えられる.
そもそもP.C.L.は1898年Hildebrandtが頸部のcongenital epithelial cystとして鰓弓遺残性のものと報告しLecèneが耳下腺のcystic aden-omaとして報告した様に1910年頃迄は側頸部の嚢腫性疾患として考えられてきた.
元来耳下腺は腫瘍の発生し易い領域であるが大部分は混合腫瘍と悪性腫瘍(腺癌)であり良性上皮性腫瘍は少いもので,その中でリンパ性乳頭性嚢状腺腫(P.C.L.と略す)は組織発生的に興味をひき組織学的所見も特有な像を示すもので外国文献にはそれほど少くないが本邦報告例は稀なものである.即ち昭和10年松島の報告以来,木村,並木,大橋,芝,米川,星氏等の報告に接するのみの様である.外国における報告も比較的多いとはいうものの1950年Thompson and Bryantが自験17例を加えての集計は180でありこの中12は肉腫,癌腫等の疑がもたれるものであるとしているところから考えて,現在の報告例は200例内外であると考えられる.
そもそもP.C.L.は1898年Hildebrandtが頸部のcongenital epithelial cystとして鰓弓遺残性のものと報告しLecèneが耳下腺のcystic aden-omaとして報告した様に1910年頃迄は側頸部の嚢腫性疾患として考えられてきた.
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