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文献詳細

雑誌文献

臨床外科15巻12号

1960年12月発行

文献概要

綜説

先天性幽門狭窄症について

著者: 志村秀彥1 永光慎吾1

所属機関: 1九大三宅外科教室

ページ範囲:P.985 - P.991

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はしがき
 先天性幽門狭窄症は新生乳児期,特に生後2週前後から始まる激しい嘔吐を主訴とし,適当な治療がなされねば栄養障害の為め死に至る極めて印象的な先天的疾患である.本症については1717年Blairにより始めて報告され,其の後Armstr-ong(1777),Beardley(1787),Hirschsprung(1889)等により臨床的或は病理解剖学的に,其の病態が明らかにされた.
 欧米では比較的多い疾患であり,Schaefer,Ward,Ladd,Gross,Raisch,等により数千の手術症例が報告されているが,本邦に於ける報告は少なく,坂内(1934)の報告以来70数例に過ぎない.欧米でもアングロサクソン族,ゲルマン族はローマ族及びスラブ族より頻度が高いとされている処からすれば,種族的差異も多少は存在するものと思われる.然し其の原因に関しては,全く未知の領域にある.本邦では外科的治療を必要とする例が少ない.其の理由として本症はしばしば他の疾患と混同され又内科的に治療される例が多い為とする者もある(相沢,里見).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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