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症例
腸管被膜症の2例
著者: 金谷春之1 山崎豪男1 堀江信一1 沢井靖明1 石川育成1 中島彰2 間山忠3
所属機関: 1岩手医科大学光野外科 2岩手医科大学工藤内科 3岩手医科大学病理学教室
ページ範囲:P.1051 - P.1057
文献購入ページに移動本症は,1907年OwtschinnikowによりPeri-tonitis chronica fibrosa incapsulataとして初めて発表され,その他Polyserositis(Esau 1913),Seltene Peritonitis forme(Eunike 1919),Zucker-gussdarm(Winnen 1921)とも呼ばれているもので,又本邦では1926年,権藤が腹膜奇形として初めて報告し,ついで1927年塩田教授により「腸管膜様包裏」と命名された疾患である.
私共は,最近結核性腹膜炎並びに胃癌を原発とする癌性腹膜炎による本症の2例を経験し,特に後者において,剖検の機会を得,病理組織学的検索の結果,本症の発生機転について興味ある知見を得たので,その概要を本邦症例の統計的観察と共に外科22巻10号に発表し,被膜形成機序について考察を加え,同時にその名称として,腸管被膜症と称することを提唱した.ここでは主としてその症例について述べ,本症の2例を報告する.
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