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文献詳細

雑誌文献

臨床外科15巻3号

1960年03月発行

症例

過剰輸血について—外傷性肝皮下破裂にさいしての1経験

著者: 大内十悟1 金山利吉1 森田建1

所属機関: 1日本大学第1外科教室

ページ範囲:P.273 - P.278

文献概要

緒言
 近代外科発展の大きな要因の1つとして,輸血輸液などの体液管理の進歩を挙げることは異論のないところであろう.とくに輸血療法はすでに,術前,術中の処理として欠く可からざるものとなり,さらに血液保存法の改良,血液銀行の設置に伴つて,大量輸血も容易に施行されるようになつた.最近の労働災害,交通事故の増加による大きな外傷の頻発,あるいは大量出血を来し易い肺,脳,心,大血管等に対する手術の増大などによつて,今後ますます大量輸血の機会は増加することであろう.一方このような大量輸血の増加の傾向は,従来の副作用発生の機会を助長させるとともに,さらに大量輸血による障害の危険性を増大せしめてきた.この大量輸血に伴う障害については,本邦においても,種々の業績が報告されているが,その多くはクエン酸中毒,高K血症,出血傾向などに関するものであり,障害の1つである過剰輸血による循環負荷の問題に対してはなお関心が薄いためか,その報告は極めて少い.
 最近,われわれは外傷性肝皮下破裂の患者に遭遇し,急激なる大出血に対し大量輸血を行つたさい,大量輸血が過剰輸血となり,特有なる症状を呈した1例を経験した.幸いにも治癒せしめ得たが,本症の発現機転,診断,治療等に関し,種々興味ある問題を有し,また反省考慮させられる点も多いのでここに報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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