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文献詳細

雑誌文献

臨床外科15巻4号

1960年04月発行

文献概要

薬剤

腸運動刺激剤としてのパントールの使用経験

著者: 政所修治1 大脇勇介1

所属機関: 1福岡赤十字病院外科

ページ範囲:P.357 - P.359

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まえがき
 開腹術,あるいは腹膜に刺激の加わる手術に際して,術後最も重要な合併症の1つに,腸運動低下による腸管内容停滞,腸管膨隆の問題がある.殊にその手術が脊椎麻酔下に行われた場合には,内臓神経,骨盤神経系の麻痺あるいは遮断により多少共いわゆる生理的イレウスの状態となるものであり,この生理的イレウスはさらに増悪して麻痺性イレウスまで発展する場合もあり,術後患者管理に際して,日常われわれがグル音の聴取,腸内ガスの自然排出に留意している所以である.
 従来より腸運動を促進する方法としては,プロスチグミンの筋注,高圧浣腸,メンタ湿布,高張食塩水の静注等が一般に利用されているが,プロスチグミンのアセチルヒョリン分解酵素阻止作用の外には,積極的に腸運動を促進するものはないようである.1951年J.E.Jacquesは術後麻痺性イレウスにパントテン酸を応用して良効果を得,パントテン酸と腸運動との関連性を強調している.最近われわれは,東亜栄養化学の好意により,パントテン酸の新誘導体パントテニールアルコールから作られたパントール注射液を使用する機会をえたので,その腸運動との関係について検索した結果を報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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