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文献概要
症例
興味ある胃内異物の1例
著者: 下河辺建五1 福井実三1
所属機関: 1久留米大学医学部脇坂外科教室
ページ範囲:P.467 - P.469
文献購入ページに移動Ⅰ 緒言
元来消化管は,摂取食物の消化吸収を掌る器管であり,従つて消化管内容は,その目的に合致した物でなければならない.唯,嗜好および味覚を盛り上げる為に,必ずしも栄養的価値のないものが摂取される場合も比較的に多いが,これらはやはり広義には栄養吸収の目的に添つたものと解すべきであろう.所がこの消化管内に,栄養吸収とは全く無縁のもの,ないしは消化管に器質的に障害を与えるもの,時には生命をも脅かすものが介在することがある.かかるものは消化管異物と称せられるのであるが,われわれは偶々福岡県戸畑市の下河辺共立病院において,1精神異常者が量的にも質的にも驚異に値する程の異物を胃内に嚥下していた症例を経験したが,しかもこの場合異物による胃穿孔をも来たして居り,手術によつて1次的に治療せしめ得たので,ここに報告すると共に,消化管内異物に関し若干の文献的考察を加えたいと思う.
元来消化管は,摂取食物の消化吸収を掌る器管であり,従つて消化管内容は,その目的に合致した物でなければならない.唯,嗜好および味覚を盛り上げる為に,必ずしも栄養的価値のないものが摂取される場合も比較的に多いが,これらはやはり広義には栄養吸収の目的に添つたものと解すべきであろう.所がこの消化管内に,栄養吸収とは全く無縁のもの,ないしは消化管に器質的に障害を与えるもの,時には生命をも脅かすものが介在することがある.かかるものは消化管異物と称せられるのであるが,われわれは偶々福岡県戸畑市の下河辺共立病院において,1精神異常者が量的にも質的にも驚異に値する程の異物を胃内に嚥下していた症例を経験したが,しかもこの場合異物による胃穿孔をも来たして居り,手術によつて1次的に治療せしめ得たので,ここに報告すると共に,消化管内異物に関し若干の文献的考察を加えたいと思う.
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