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文献詳細

雑誌文献

臨床外科15巻6号

1960年06月発行

文献概要

綜説

胃癌術後縫合不全の発生について

著者: 志村秀彥1 岡沢猷夫1

所属機関: 1九大三宅外科

ページ範囲:P.487 - P.493

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Ⅰ.緒言
 手術手技の改善および抗生物質の発見に伴い胃癌の直接死亡率は最近著しく減少しつつある.九大三宅外科最近10年間の推移を見ても昭和24.25年には比較的高率であつたが,その後漸次改善され最近では5%以下である.特に目立つのは胃全摘後の死亡率の低下であり最近では殆んど部分切除と同様の成績を示している.津田外科の統計でも同様な成績を挙げており,昭和22年から24年迄の死亡率が比較的高率な理由としてこの時期は戦後の混乱期に当り栄養不全,術後の管理の不備に帰している.
 直接死亡原因はいろいろのものが考えられるが非切除例では肝機能不全,出血によるものが最も多く切除例では汎発性腹膜炎または横隔膜下膿瘍膿胸等縫合不全に原因を持つものが67%近くを占めている.従つて胃癌の手術死亡率を減少させる為には縫合不全発生を予防する事が肝要である.若し完全にこれを予防し得れば手術死亡率は1%以下になし得ると思われる.以下胃癌胃切除後の縫合不全の発生について原因,病状予後および予防対策について検討を加えたい.(第1表)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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