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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科15巻7号

1960年07月発行

雑誌目次

綜説

副腎腫瘍概観

著者: 渋沢喜守雄

ページ範囲:P.557 - P.589

はしがき
 先日の外科学会で副腎の腫瘍を講演させて頂いたので,ここでは外科学会講演内容とはなるべく異つた記載をこころみたい.学会の宿題のごときものを,学会機関誌以外に,そつくりそのまま発表することは,良心を著しくうずかせる.

胆石の赤外線吸収スペクトルによる分析及びその臨床所見の研究(その2)

著者: 田中宏幸

ページ範囲:P.591 - P.605

4)入院時諸検査—血圧,赤沈値,白血球数
 血圧とコ系,ビ系胆石の関係は,第13表のごとくで,血圧150mmHg以上の高血圧を示すものは,71例中9例(12.7%)で,コ系石では,51例中6例(11.8%),ビ系石では,20例中3例(15.0%)で,ビ系石に多く高血圧を示すものが認められた.
 赤沈1時間値と,胆石種類および胆石所在の関係を考察すると,第14,15表のごとくである.

座談会

副腎外科に就いて

著者: 久留勝 ,   渋沢喜守雄 ,   卜部美代志 ,   藤森正雄 ,   永井良治 ,   石川七郎 ,   脇坂順一

ページ範囲:P.606 - P.621

 久留 皆様,大変お忙しいところをお集まり願いまして,有難うございます.学会を円滑に運営しようという本心から出発したのですけれども,今日は実にひどい又失礼なことを沢山申上げて誠に申訳なく存じています.これで宿題の方の準備が大体整いまして,私としては非常に安心いたしました.これから時間の許す限り今日の問題を中心にして,皆様が腹蔵ないところを,お話合いになつて頂きたいと思います.
 渋沢 先生,症例の写真なんかお借りした場合なんか,それをいちいちお断わりするひまがないのですが,それは仕様がないと思いますが.

印象記

第8回日本輸血学会印象記

著者: 遠山博

ページ範囲:P.623 - P.628

 日本輸血学会は3月30日午後1時に沢田平十郎会頭により開会の辞が述べられたが,実際は同日午前10時40分より日本麻酔学会との合同パネルディスカッションを以てその幕をあけた.この両学会合同パネルは主に日本麻酔学会会長稲本教授の構想により,本邦では初めて試みられた新形式である.外国では2つの学会によるジョイント・セッションは多いが本邦でもこの形式は次第に発展して行くであろう.この合同パネルは稲本会長自らの司会の下に最も豪華な会場フェスティバルホールで行われた.①札幌医大高橋教授は先ず静脈麻酔剤の生体内における分解等薬理学的理論と患者の各種の栄養状態との関係を論じた.次いで特別参加として九大第二外科犬塚氏から「輸血節減下手術における生体重要臓器の循環動態について」と題して,同手術の症例を多く引用して輸血量を無用に多くするのは慎むべきであることが述べられた.②東大輸血部遠山は一般臨床家のABO式血液型判定にはかなり誤判が多いこと,発表されたABO式不適合輸血中ではO型にA型を輸血したものが一番多く,また死亡率が最も高いこと,全身麻酔中の輸血副作用のあらわれ方,不適合輸血と細菌汚染輸血の症状の比較等々を論じ,全身麻酔中のRh式不適合輸血の1症例を報告した.つぎに長崎大秦野教授より急速大量輸血を行う必要が外科手術中には往々あるので,これに対処すべき一案として同教授の創案による装置が多くのスライドにより説明された.

薬剤

表面麻酔剤Epirocain,Dyclonineの泌尿器科領域における使用経験

著者: 山藤政夫 ,   木村哲

ページ範囲:P.631 - P.636

緒言
 泌尿器科領域において,日常実施せられている経尿道的操作は麻酔なしに或は不充分な麻酔の下に行えば,相当の苦痛を患者に与えるものでそのため,器械の挿入は不能となり,充分な検査や,処置を行えない場合が多い.このため簡単でかつ充分な効果を有する麻酔剤は必要とされるわけである.1806年Nicman & LassenによりCocaineが発見されて以来数多くの表面麻酔剤が相次いで現われその優秀性も認められて来たが未だ完全なものを得るに至つていない.最近「エーザイ株式会社」によりEpirocainが合成され,さらにDyclonineの合成も行われ,その個々の表面麻酔剤としての効果は,新谷,斎藤,百瀬,後藤等によりすでに詳しく報ぜられているが,さらに同社により,この両者を組み合わせてEpirocain Dyclonine JellyおよびSolutionが創製され,われわれもその提供をうけたので,尿道麻酔(局所)としてのその効果につき使用成績をここに報告する.

症例

胸骨後部甲状腺腫の1例

著者: 桜井末男 ,   宜野座通義 ,   盛合薰夫

ページ範囲:P.639 - P.641

緒言
 胸腔内甲状腺腫の概念については,1883年Wöl-blerがはじめてその本質を明らかにしているが,その後欧米においては可なり多数の報告があり,種々検討が加えられている.これに反し本邦ではその報告例が極めて少ない.
 われわれは最近,当教室においてレ線学的に術前より,胸骨後部甲状腺腫と診定し得た1例を経験したので茲に報告する.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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