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文献詳細

雑誌文献

臨床外科16巻1号

1961年01月発行

文献概要

薬剤

蛋白同化ホルモン〜β-Androstanoloneの使用経験

著者: 徳沢邦輔1 川井忠和1 饗場庄一1 梨本剛1 河又正紀1 安斉徹男1 大塚浩之1

所属機関: 1群馬大学渋沢外科

ページ範囲:P.79 - P.88

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1.はしがき
 外科領域では低蛋白症はショック準備状態として極めて危険であり,手術にあたつては血清蛋白濃度が少くとも6g/dl以上あることが是非とも望ましいことは周知の所であろう.低蛋白症の患者は手術に際しショックに陥り易いのみならず,術後,内臓の浮腫たとえば吻合部通過障害および縫合不全,手術創の治癒遷延ないし哆開,細菌感染に対する抵抗性の減弱,胃腸運動の減弱,肺化膿症など重篤な合併症を容易に惹起する.従つて,外科領域においては,術前は勿論のこと術後の低蛋白症の改善は極めて重要な治療法のひとつである.
 外科手術の対象となる疾患,たとえば胃癌の約60%,腸癌の約35%その他の胃腸疾患でも約30%は術前すでに低蛋白状態にあるといわれる.一方,生体はひとたび外科的侵襲をうけると,外力による組織の挫滅,出血による血球・血漿成分の喪失の他に,貯蔵蛋白質が侵襲反応の過程で,動員され消耗される.このような侵襲に伴うカタボリズムの期間は侵襲の程度によつて多少異るが3〜7日間は持続する.従つて,術前の低栄養・低蛋白症は術後,生体をますます低蛋白状態に陥らせるのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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