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文献詳細

雑誌文献

臨床外科16巻10号

1961年10月発行

展望

悪性腫瘍に伴う異常な臨床症状—(3) Polycytaemia

著者: 渋沢喜守雄1

所属機関: 1前群大

ページ範囲:P.887 - P.901

文献概要

はしがき
 Polycythaemiaは慢性に経過して急激に衰弱を招くことが少いので,たとえ中年の年齢層に稀でない,最終的には致死的の疾患であつても,外科では存外に注目されないようである.原発性の真正赤血病は,慢性骨髄性白血病・myelofibrosisなどと多少オーバラップしつつ,骨髄の"myeloproli-ferative"の疾患を構成する.ここでは,本症が50歳台(平均年齢53.7歳)の男子(♂:♀=2:1)に好発し,ユダヤ人に多いという事実を注目しておきたい.それは,ここで取扱おうとする,ある種の癌に合併する続発性多血症が,やはり,中年男子に好発し,ユダヤ人に多いからである.原発性赤血病は周知のように,赤血球・ヘモグロビン・ヘマトクリット・循環血球量の著しい増多のほかに,多くは白血球・栓球にも増多があり,脾腫を示している.その動脈血酸素飽和度には全くhypoxiaの所見がない.また,その多核白血球にはアルカリ性フォスファターゼ活性が強陽性である.これに反して,ここで取あげる続発性多血症には,白血球・栓球の増多はむしろ稀であり,脾腫が少く,動脈血酸素飽和程度がしばしば低く,多核白血球のアルカリ性フォスファターゼは正常である.すなわち,癌に合併する多血症は,あくまで続発性polycythaemiaであつて,原発性pol ycythaemiaが偶然発生したのではない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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