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綜説
上腹部大動脈縮窄症,とくに腎動脈狭窄による高血圧の外科的治療について
著者: 木本誠二1 和田達雄1 野原不二夫1 石田幸三1 若林明夫1 髙田真行1
所属機関: 1東京大学医学部木本外科教室
ページ範囲:P.993 - P.1000
文献購入ページに移動腹部大動脈縮窄症は,いわゆる異型の大動脈縮窄症と称せられるものに属する疾患であるが,欧米においてはこの異型の大動脈縮窄症が極めて稀なものとされているのに対し,本邦において比較的多く認められることは,すでに著者等が本誌上に発表したところである1).
腹部大動脈に縮窄症の存在することは,古くから知られており,すでに1847年にQuain氏2)が,ついで1861年にPower氏3)がこれを記載しているが,1960年のSenning氏4)等の集計によれば,総数29例で,このうち狭窄部位が腎動脈分枝部,もしくはそれより中枢側に存在するいわゆる上腹部大動脈縮窄症の範疇に属するものは16例にすぎない.
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