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発癌と炎症,他
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ページ範囲:P.153 - P.153
文献購入ページに移動 慢性炎症巣から発癌しうることは周知のところで,慢性胃炎は胃癌の前変化であるといわれる.さて,Menkinは炎症巣の傷害細胞はいくつかの化学物質を遊離して炎症の生物学的性状を規定するという有名な説をたてているが,そのうち,たとえば肋膜炎滲出液エキスやウサギの耳に数カ月注射すると,注射をやめたあとに,局所に結節状の腫瘤をつくり,軟骨膜増殖が著しくなる.この腫瘤形成にはnecrosinもふくむ滲出液エキスが必要である.ここに紹介される論文は,Menkinの炎症巣エキスが発癌において演ずる役割を,彼らの研究から取りまとめたもので,きわめて興味ぶかい.ひとくちに云うと,炎症巣から抽出されるgrowth-promoting factorが発癌にきわめて重要であるということになる,発育促進因子はペプタイドで,組成アミノ酸にはロイシン,バリン,リジン,α-アラニン,グリシン,アスパラギン酸,セリンで,さらにグルタチオンを含むが,おそらくnucleopeptideであろうと想像されている.nucleopeptideが乳腺に腫大,乳管上皮過形成,管腔拡張を招くので,慢性乳腺症様の所見を発生せしめうると見ることができるから,発癌性炭水化物と併用すると,発癌物質といつてもよい.耳には前のような軟骨および皮膚に過形成をつくる.この物質は透過性で耐熱性である.
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