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文献詳細

雑誌文献

臨床外科16巻6号

1961年06月発行

文献概要

展望

Endocrine Ulcer(その2)

著者: 渋沢喜守雄

所属機関:

ページ範囲:P.503 - P.519

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Ⅱ.上皮小体,ラ島および副腎腫瘍からの観察
A.上皮小体機能亢進症について
1.いとぐち
 上皮小体機能亢進症における消化性潰瘍の合併はHanke(1932),Herzenberg(1933),つづいてRogers(1946)によつて記載され,潰瘍を伴なう内分泌亢進症の最初のものである.上皮小体機能亢進症が,骨変化・腎結石より早く消化器症状を呈することは,最近ようやくひろく知られるようになり,ときに潰瘍様の症状を合併(潰瘍形成なし)しうることもすでに知られている(Gut-man 1934).諸文献によれば,第1表のごとく,上皮小体機能亢進症に潰瘍の合併する頻度は4〜28%である.筆者の集計した上皮小体機能亢進症820例では,74例(9.0%)の潰瘍頻度で,これはOstrow(1960)の集計427例について9.1%の成績によく一致する.すなわち,上皮小体機能亢進症に潰瘍の合併する頻度は9%附近である.一般人口における潰瘍頻度は,Am.J.Med.(Nov.1960),およびGastroenterology(Nov.1960)のシンポジウムで精しく論ぜられているように,1〜4%以下と推定される.したがつて上皮小体機能亢進症では,潰瘍合併頻度が一般人口におけるより有意に高いとおもわれる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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