icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科16巻7号

1961年07月発行

文献概要

綜説

特発脱疽における尿エストローゲン排泄

著者: 髙尾英吉1 金本正弘1 小沢進1

所属機関: 1鳥取大学医学部桑原外科教室

ページ範囲:P.627 - P.628

文献購入ページに移動
 外科でとりあつかう末梢血管の疾患に多くのものがある.静脈炎,脈瘤,拡張,外傷など,また脳,脊髄など部位においても,きわめて多種多様である.動脈を主変化とする日常のものにBuerger病,Raynaud病などがある.われわれはBuerger病14例に尿中エストローゲンを測定する機会があつたのでその測定値を中心として本症を考えてみたい.尿中エストローゲンと本症とは直接的関係にたつているとは考えられない.血中エストローゲン,ことに末梢血管壁の本ホルモンが重要であろう.しかし,これらも,すべて病態生理の一面を明らかにするにすぎないであろう.また末梢血管の神経支配,支配神経のホルモン作用も重要な関心事である.教室角は各種ホルモンの末梢神経への影響を探索し,エストローゲンに亢奮抑制作用のあることを明らかにした.しかし,その作用機序がすべて末梢性要因によるとは考えられない.また直接作用にしても,実験条件下の大量ホルモンが生体で作用することも極めて稀である.
 われわれの行つた測定法はハイドロキノン,コーバー法であるが,可検エストローゲン値が5〜10γであるとされる.もつと鋭敏な螢光光度計による方法が今は行われている.諸種の事情で桑原,稲垣,小島等の行つた生物学的検査法はわれわれは行つていない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?