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文献詳細

雑誌文献

臨床外科16巻8号

1961年08月発行

綜説

Carpal Tunnel Syndrome

著者: 高岸直人12 森永亨12

所属機関: 1広島赤十字病院 2原爆病院整形外科

ページ範囲:P.708 - P.710

文献概要

緒言
 正中神経がその走行の何れかの部位において圧迫されると,正中神経麻痺の症状が圧迫の程度および部位に応じて起つてくる.これを正中神経圧迫症候群と名付け高岸は第3回手の外科学会において報告した.この中で最も普通に見られるのが,このCarpal Tunnel Syndromeである.手関節屈側において深横靱帯を含めてその内部にある各種の組織の肥厚によつて正中神経が圧迫されるために起る症候群である(第12図).本疾患はさらにmedian thenar neuritis,median neuritis,tardy median palsy,median neuropathyとも呼ばれているが,Carpal Tunnel Syndromeが最も普偏性のある呼称である.本症は1865年Pagetによつて橈骨末端骨折後に過剰仮骨が原因となつて起つた本症が報告されて以来,1911年Huntが2例を報告し,1913年Marie and Faixは80歳の本症を述べ,解剖により原因を確認した.1941年Woltmannは2症例を述べ,第1例は松果腺のレ線療法により症状を改善し,第2例は外科的に横靱帯を切つて示指にあつた潰瘍を治癒せしめ疼痛を消失させ,知覚,筋力を回復させ,手術により本症を治癒せしめ得た第1例とした.以後1945年Zackary,1946年Cannon等の報告が見られたが,いずれも小数例で,例数は少いものであろうと考えられていた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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