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症例
脈無し病の1例
著者: 山崎英夫1 宮崎穣2
所属機関: 1済生会小樽北生病院 2札幌医大外科学教室
ページ範囲:P.743 - P.745
文献購入ページに移動1908年高安1)の「奇異なる網膜中心血管の変化の1例」と題する論文が本疾患の最初の報告とされている.しかしこの例では特異な眼底変化の記載のみで,橈骨動脈脈搏が触知できないということには触れていない.このことを最初に認めたのは,高安の講演に追加した大西2)である.以降眼科領域に発表が散見されたが,本疾患の病理・症候・治療等については,不明の点があまりにも多かつた.1948年清水教授は自家経験の6例と,それまでに報告された25例について,極めて詳細な研究を発表され,新しい知見が数多くえられた.その後40余例の症例が発表されているが,最近私どもも本症の1例を経験したので,ここに報告し,考察を加えてみようと思う.この疾患は要するに無名,鎖骨下,総頸動脈に慢性の汎血管炎を生じ,管腔が狭小となるために起るものである.
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